エッソス[]
エッソスはウェスタロスの東側に位置する広大な大陸で、既知の世界の極東にまで広がっている。自由都市は北西部の沿岸に位置しており、内陸部の奥深くにあるドスラクの海と南海岸にあるドラゴン湾の都市を有する。大陸は、東の果て、翡翠海の周囲にまで続き、遥かなる伝説の地アッシャイと影の土地にまで及ぶ。エッソスの気候は北部と西部の一部では温暖で、南部と東部の一部では亜熱帯となっている。エッソスを西に向かうにつれて一般的に降水量は減少する。
大陸の最東端は完全には地図に記されてはいない。ウェスタロスの大陸は、ドーンの砂漠地帯から壁の北側にある北極圏にいたるまで北から南により長く延びているが、東から西の距離はそれよりもずっと短い。対照的にエッソスは広く東西の緯度に沿って続いている一方、最北端と最南端の距離はより短い。エッソスの西海岸にある最北端の都市ブレーヴォスはアリンの谷間と同じ緯度に、タイロシュに近い最南端はドーンと同じ緯度にあり、ステップストーン諸島として知られる島々によって分断されている。この両端の都市のほぼ中央に位置するペントスはキングスランディングと同じ緯度にある。
地域[]
自由都市[]
9つの自由都市は、ヴァリリア帝国が陥落するまではヴァリリア永世領の植民地だった(ブレーヴォスだけはヴァリリアの奴隷制度から逃れた者によって造られた)。
- ブレーヴォス
- ロラス
- ライス
- ミア
- ノーヴォス
- ペントス
- クォホール
- タイロシュ
- ヴォランティス
今はそれぞれ独立した都市国家となっており、様々に同盟を繰り返しながら土地と資源を求めて互いに争っている。各都市はエッソスの最も西に位置し、ウェストロスとは狭い海で分断されている地域にあることから七王国と頻繁に交流があり、彼らとの貿易も盛んである。
概して、自由都市を有するエッソスの西部地方は、北部は険しい丘に阻まれ、緩やかな平原は南へと続いている。中でも一番大きいのはノーヴォスの丘で、西部地方の中央北に位置している。この地域の唯一最大の森は広大なオーホアの森で、ノーヴォスの丘の東に位置し、ドスラクの海と呼ばれる平原との境になっている。
ロイン河[]
西部地方には、分水嶺となっているロイン河と多数の支流が広がっており、これらの丘を源流としてどれもおおよそ北西から南東に向かって流れており、ロイン河の巨大なデルタ地帯からヴォランティスの港近くの夏の海に注がれている。河を拠点にする商人の都市に住むロイン人はかつて河と共に栄えたが、千年前に勢力を拡大しつつあったヴァリリア人に敗れ、生き残った者たちはウェストロスのドーンに逃れた。これらの街の遺跡がロイン河沿いに未だに見られる。
ロイン河はブレーヴォスからあまり遠くない北西の源流にまで遥か延びており、アッパー・ロイン河とリトル・ロイン河がゴーヤン・ドロエの遺跡近くで合流している。さらに東に行くと、ノーヴォスの丘から流れる支流のノイン河にナイ・サーの遺跡で合流する。さらに南東に進むとクォホールの森から流れ出るクォホイン河と合流し、その流れは一つになってダガー湖として知られる湖となり、ペントスとミアの間の緯度にある。これによりノーヴォスとクォホールなど内陸部にある自由都市も、船舶による移動と貿易が可能になり、河を利用して物品を運んでいる。ロイン河はダガー湖からさらに流れ出て、南に進むに従ってロルル河(ゴールデン・フィールドの西から流れて来る)そしてセロル河とヴォレーナ河(どちらも東から流れてくる)などいくつかの支流が流れ込んでくる。すでに水かさが増しているロイン河の下流にこれら最後の支流が合流することによって、ロイン河南部東側約三分の一の地域は、病が蔓延し、ほとんど通過すらできない湿地や沼地に覆われている。対照的にライスとヴォランティスの間に位置するロイン河デルタ地帯の西側は、東側よりもずっと乾燥していて快適で、オレンジ海岸として知られる地域である。
ブレーヴォスからタイロシュまで、エッソスの西海岸に沿って北から南に進むと、大陸はロイン河の西でおおまかに三つの地域に分けることができる。アンダロスの丘、そしてフラットランド、さらにミアとライスの間にある最南端の「争いの土地」である。アンダロスの丘は、ほとんどがアッパー・ロイン河とロラス湾によってノーヴォスの丘とは分断されている。そこはアンダル人として知られる人々が元々住んでいたが、数千年前にウェストロス侵攻のためにその地を離れた。この地域から北に延びる大陸の北西の端にはブレーヴォス半島がある。今日、この半島とアンダロスは多かれ少なかれブレーヴォス人に支配されており、ブレーヴォス人の沿岸地帯と誰からともなく呼ばれている。
アンダロスの南には、リトル・ロイン河とベルベットの丘によって分断されているフラットランドがある。この地域はペントス近くの緯度と概ね同じ位置にある。その名前が示す通り、ここは平坦な農地である。フラットランドの最北端はペントスの東から始まり、ロイン河流が東の境になっている。そして最南端はおおよそミアの緯度に位置し、この都市にはミアス海として知られる湾がある。
フラットランドの南とミアス湾のあるこの地域はあまりはっきりと定義されておらず、「争いの地」として知られている。そう呼ばれているのは、この地域のいろいろな場所が常にライスとミアという二つの自由都市の手を行ったり来たりしているためである。これらの都市は何世紀にもわたって憎き宿敵同士なのだ。タイロシュは争いの土地に形成された半島の最西端に位置し、ヴォランティスを西に臨む都市だが、頻繁にこの二つの宿敵同士の内輪もめに引きずり込まれている。タイロシュ自体はウェスタロスに最も近い自由都市だが、ウェスタロスとはステップストーン諸島として知られる島々によって隔てられている。伝説によれば、この島々はかつてドーンの腕として知られる陸の橋でウェスタロスとつながっていたが、破壊されたのだという。いずれにせよ、ステップストーン諸島もまた頻繁に争いの種となっているが、長期にわたって一つの勢力に支配されることはめったになく、海賊の巣窟として悪名高い。にもかかわらず、タイロシュの近くでは、最も近い島々を支配下に置くのが通例となっている。ミアは争いの地の北に続くミアス湾の東海岸がある本土に位置している一方、ライスは実際半島南部の付け根付近沖合の島の一つに位置している。